──ただ運転するだけじゃない。人の信頼を運ぶという仕事

「タクシー運転手って、誰にでもできる仕事でしょ？」
そう思っていた。
でも実際にやってみてわかったのは、「誰にでもできる仕事じゃない」という真逆の事実だった。

お客様を乗せて走る。
その行動一つひとつに責任と信頼が乗っていて、
それを当たり前のようにこなす日々の中に、“プロとしての誇り”が生まれる瞬間がいくつもあった。

「ちょっとそこまで」──そんな短距離の乗車であっても、
お客様にとっては「大事な時間」「大切な目的」がある。

✅ 面接に向かう若者の緊張をそっと受け止める
✅ 入院中の家族に会いに行くお年寄りの足になる
✅ 雨の日、傘もさせない子ども連れを目的地まで届ける

こうした一つひとつが、“運ぶ”という行為に宿る意味を教えてくれた。
「ただ乗せて、運ぶ」だけじゃない。
誰かの“今日”を背負ってハンドルを握る──それがプロのドライバー。

☞ ポイント：目に見えない“想い”を運ぶことも、この仕事の役割。

急な体調不良、渋滞、時間指定、道に迷った観光客…
日々の現場では、予想外のことが何度も起こる。

でも、そこで大切なのは、
✅ 焦らず判断し、
✅ 相手に安心感を与え、
✅ 最後まで誠実に対応すること。

それを繰り返すうちに、どんな状況でも冷静に判断できる自分になっていた。
「運転技術」だけでなく、
“信頼される判断力”と“人としての落ち着き”が身についていく。

それは他の仕事でも、人生そのものでも活きる力になった。

☞ ポイント：運転技術よりも、判断力・対応力こそが“プロ”の証になる。

あるとき、お年寄りのお客様からこんな言葉をかけられた。

「あなたが運転してくれてよかった。安心して眠れたよ」

何気ない一言だけど、心にずっと残っている。
タクシーという密室で、“安心”や“信頼”を感じてもらえたこと。
それが何よりも嬉しかった。

✅ 名前も知らない誰かに、信頼を預けてもらえる
✅ 一期一会の中で、「この人でよかった」と思ってもらえる
✅ 無言でも伝わるプロ意識がある

それが、この仕事の一番のやりがいであり、
「この道を選んでよかった」と思わせてくれる瞬間だった。

☞ ポイント：「信頼される」という実感が、仕事への誇りを育てる。

✅ 目的地ではなく、“人生の一部”を預かっている
✅ 状況に応じた判断・行動ができる力がつく
✅ 「あなたでよかった」と言われる瞬間に、プロとしての自信が生まれる

タクシー運転手は、ただ車を走らせるだけの仕事ではありません。
人の時間・感情・信頼を乗せて走る、**“移動のプロフェッショナル”**です。

誰かに誇れる肩書きじゃなくてもいい。
でも、自分がやっていることに誇りを持てる。
そんな働き方が、タクシーの世界にはあります。

「プロのドライバーになる」ことは、ただの職業選択じゃない。
自分の人生に誇りを持つための、一つの道なのかもしれません。



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