──迷いながら選んだ道でも、あとから“正解”になることがある

「自分に合う仕事がわからない」
「転職して、うまくやっていけるだろうか」
そんな不安を抱えて、この業界に飛び込む人は多い。

はじめは不安だらけ。
慣れない地理、戸惑う接客、読みづらい天候や時間帯…。
でも、ある日ふと、「この仕事を選んでよかった」と思える瞬間がやってくる。

それは、売上が伸びた日かもしれない。
お客さんから感謝の言葉をもらったときかもしれない。
あるいは、ただ静かに「誰にも急かされない時間」に身を置けた瞬間かもしれない。

今回は、そんな“転職後の心の変化”を辿ってみる。

あるドライバーは、転職の理由をこう語る。
「最初はとにかく、前職で心がすり減っていて…。
給料も下がって、とにかく何か始めないとって焦ってたんです」

タクシー業界に入ったのは、いわば“現実的な選択”。
華やかさもなく、正直なところ“逃げ”の気持ちもあったという。

でも、半年が経ち、ようやく自分なりのペースが掴めた頃。
「誰にも文句を言われず、自分の判断で1日が動いていく」
その自由さと、自分の裁量で稼げる仕組みに
**「あれ、もしかしてこの働き方って自分に合ってる？」**と感じるようになった。

はじまりが“本気”じゃなくてもいい。
走っているうちに、“本音”に気づくこともあるのだ。

タクシーは、乗せて、運んで、降ろす──
それだけの“作業”のようにも見える。

けれど、実際には一人ひとりのお客さんにドラマがある。
病院帰りの高齢者、最終電車を逃した会社員、
ケンカして飛び出してきた恋人、久しぶりの帰省をする人…。

「今日は本当に助かりました」「優しくしてくれてありがとう」
そんな一言をもらえるときがある。

あるドライバーは言う。
「前の仕事では誰かに感謝されたことなんて、ほとんどなかった。
でも今は、たまに“ありがとう”をもらえる。それだけで、救われる日もあるんです」

“自分の存在が、誰かに必要とされている”という実感。
それは、タクシーの仕事の大きな魅力のひとつだ。

評価、ノルマ、出世競争…。
会社という組織にいた頃は、常に“誰かと比べられる”日々だった。

でも、タクシーは違う。
出庫時間も、休憩タイミングも、営業エリアも、基本的に自分次第。
今日の売上が少なくても、自分の体調や事情に合わせて働ける。

「人と比べなくていいって、こんなにラクなんだ」
そう語るドライバーは、働き方だけでなく**“自分との向き合い方”まで変わった**という。

努力すれば伸びるし、休みたければ休める。
そんな“自分軸”で働ける感覚が、
人を静かに強くしていく。

✅ 最初の動機が“生活のため”でも、やりがいは後からついてくる

✅ 自分の仕事が、誰かにとっての“救い”になる瞬間がある

✅ 他人と比べず、自分のリズムで働けるから、長く続けられる

この仕事を「天職だ」と思える人は、最初からそうだったわけじゃない。
たくさんの迷いや不安をくぐり抜けて、少しずつ手応えを感じてきた人たちだ。

だから、いま迷っている人も大丈夫。
きっと、ある日ふと振り返ったときに思うだろう。

「この仕事が、自分の人生でよかった」って。

その“確信”に出会える日まで、
焦らず、自分のペースで走ればいい。



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