──誰とも競わず、でも責任は自分で持つ働き方

「人とつるむのが苦手」
「チームプレーに疲れてしまった」
「でも、ひとりで生きていけるほど強くもない」

そんな矛盾を抱えながら働いていた自分が、
初めて「心から落ち着く場所」だと思えたのが、タクシーという仕事だった。

この仕事は、“孤独”と“自由”が紙一重の働き方。
誰にも指示されない代わりに、すべては自分次第。
そのバランスが、自分にはちょうどよかった。

タクシーの乗務中、同僚と会うことはほとんどない。
朝の点呼が終われば、それぞれが自分のペースで街に出て、ひとりで走る。

誰かに気を遣う必要も、社内の空気を読む必要もない。
「誰とも話さなくていい」ことが、こんなに楽だなんて思わなかった。

でも、不思議と孤独ではない。
お客さんとの短いやり取りの中に、ほんの少しの温度がある。

「ありがとう」や「おつりは取っておいて」なんて言葉が、
ふっと心にしみてくる。

誰かとずっと一緒にいるよりも、
一瞬のつながりのほうが深く感じられる瞬間がある。
それがこの仕事の面白さだと思う。

決まったシフトもなければ、ノルマもない。
「何時に出庫して、何時に帰るか」すら、基本的には自分次第。

今日は早めに上がって映画を観に行こう。
今週は稼ぎたいから深夜まで乗ろう。
そんなふうに、**“生活に合わせて仕事を組み立てる”**ことができる。

自由には責任が伴う。
サボれば売上は落ちるし、体調管理も自己責任。
でもそれがむしろ心地いい。

自分の選択が、そのまま成果につながる。
だから頑張れるし、納得できる。

会社や誰かに「働かされている感覚」がないことが、
これほど自分を楽にしてくれるとは思ってもいなかった。

同じようにひとりで働く人たちが、
不思議と同じ空気をまとっているのが、この業界。

駅の乗り場で無言ですれ違うときも、
タクシーセンターで軽く会釈を交わすときも、
言葉はないけど、どこか“同志感”がある。

誰も干渉しない。
でも、困っていると自然と助け合う空気がある。

孤独を苦にせず、自由を楽しみ、
黙々と自分のペースで働ける人にとって、
これほど自分に合った職場はない。

この環境に出会えたことが、
自分にとっては「救い」だった。

✅ タクシーは、ひとりの時間を尊重した働き方

✅ 自由と裁量がある分、自分の判断がそのまま収入に反映される

✅ 「孤独＝寂しさ」ではなく、「心地いい距離感」に変わる世界

「誰かと比べたくない」「自分のリズムを大切にしたい」
そんな思いを持っている人に、
タクシーという仕事は、そっと寄り添ってくれる。

“孤独だけど孤立しない”働き方がここにはある。
誰にも邪魔されず、でも誰かとつながっている感覚。
そのバランスの中で、ようやく深呼吸ができた──

そんな実感を持てたのが、タクシードライバーという選択でした。



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