何をやってもうまくいかない。
誰にも必要とされていない気がして、自分に価値があるのかもわからない。
そんな気持ちが積み重なって、とうとう、
「もう、自分を信じられない」と思うようになっていた。

転職活動もしてみたけれど、志望動機を聞かれるのが苦痛だった。
「なんでこんなに何も持っていないんだろう」
履歴書の空白が、自分を否定しているようにさえ感じた。

でも、そんなときに出会ったのが、タクシーという仕事だった。
過去でもスキルでもなく、“いま”の自分を見てくれる場所が、ここにあった。

面接で正直に話した。「特に理由はないけど…なんとなく応募しました」
普通の会社なら落とされてもおかしくない。
でも、面接官は笑ってこう言った。

「“なんとなく”でもいいんです。あとはやってみてから考えましょう」

驚いた。
過去のことも、空白の理由も聞かれなかった。
ただ、「いま働きたいかどうか」だけが、判断基準だった。

そして実際に、入社が決まった。
「こんな自分でもいいんだ」と思えたことが、
まず、心の中の小さな救いになった。

タクシーの仕事は、始めは覚えることも多い。
地理、アプリ、接客、乗務日報…。
でも、焦らず、ひとつずつ慣れていった。

ある日、雨の日に妊婦さんを乗せたことがあった。
「濡れずに済んで本当に助かりました」
そう言われたとき、自分が“役に立てた”ことを初めて実感した。

別の日には、高齢の方から「あなたの運転、安心できた」と言われた。
たった一言でも、その日はずっと気分がよかった。

今までは、人の役に立っている感覚なんてなかった。
でもこの仕事では、日々の一つ一つのやり取りが、自分の価値を“見える形”で返してくれる。

それが、少しずつ自信につながっていった。

この仕事を選んで一番よかったのは、
過去を見られない、ということ。

「何をやっていたか」よりも、
「今、どれだけ前を向いて働けるか」が評価される。

年齢も、経歴も、空白も問われない。
目の前の一人をどう送り届けるか。
その積み重ねだけで、自分の存在が認められる。

そして気づけば、“自分を信じる力”が、また少し戻ってきていた。

過去は変えられない。
でも、“これから”は、いくらでも積み上げられる。

この仕事には、その“これから”を生きる余白がある。

自信なんて、最初からなくていい。
やる気だって、毎日持ち続けなくていい。

でも、「今日、誰かの役に立てたかもしれない」
その感覚が、あなたをまた、自分自身に引き戻してくれる。


✅ 過去やブランクを問わない、再スタートのしやすい仕事

✅ 小さな「ありがとう」が積み重なる日々

✅ “自分を取り戻す”ための第一歩に選べる環境


タクシーは、特別な仕事ではないかもしれない。
でも、人生をもう一度つくり直すのに、こんなに優しい仕事は他にない。

自分を信じられなくなったとき。
一度、動き出してみてほしい。
その先に、想像していなかった「自分らしさ」が待っているかもしれません。